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天然由来製品の検証に炭素14分析は有効でしょうか?

April 24, 2018

天然由来製品が一般的になるにつれて、偽装・偽和されている製品の割合も増えています。
「天然由来」という謳い文句が真実であるかを確認する方法として様々な試験法が存在しますが、天然由来成分の複雑さや新しい偽和方法の台頭により、一つの試験で100%天然由来成分を保証するのは難しくなってきています。

天然由来製品の対象とした様々な試験の中で、単純に不純物が含まれているかどうかを判断する方法はいくつか存在しますが、その不純物が天然由来ではなく、合成石油由来の添加物であることを実証できるのは炭素14分析法だけです。よって、天然由来の製品に合成石油由来の物質が混入していないことを確実にし、製品の品質を管理するのに炭素14分析法は非常に有効なのです。

以下に、一般的に使用されている試験について詳述します。GC-MS vs Carbon-14

ガスクロマトグラフィー質量分析法 (GC-MS)

GC-MSは、「ガスクロマトグラフィー」と「質量分析」という2種類の試験方法を用いた試験の総称です。ガスクロマトグラフィーでは、揮発性混合物を成分別に分離することができます。その成分を質量分析装置を通すことで、化合物がイオン化され、さらに断片化し、最終的にその断片の質量および相対量が質量分析装置に記録されます。得られたスペクトルを参照データベースと比較することで、試料の組成や真正性を評価することができます。微妙な差を検知できる方法として、精油や香料を含む多くの製品において、GC-MSは非常に人気のある試験方法です。

キラル試験法

キラリティとは、空間における3D方向に関連する分子の特性を意味します。キラル分子(一つのキラル中心を有する)は、同じ成分(指)を持ちながら、重ね合わせることができない左右の手のように、どう回転しても重ね合わせることができない2つの鏡像に存在します。

自然界では、左旋光または右旋光のキラル分子のみが発見されることがしばしばありますが、試験所で作られた合成同等物は、ラセミ混合物(2種類の鏡像異性体が等量存在することによって旋光性を示さなくなった状態の混合物)であることが多いので、光学分割によってラセミ混合物と左旋光と右旋光のキラル分子(光学活性体)を分離させる操作が必要となります。

混合物のキラリティを調べる方法はいくつかありますが、最もシンプルなものが旋光度の測定でしょう。左旋光のキラル分子は偏光面を一方向、つまり反時計回りに回転させ、右旋光のキラル分子はその反対方向(時計回り)に同等の光を回転させます。ラセミ混合物では、両方向の旋光がお互いの光を相殺していまうので、光を回転させることはありません。最終的に参考値との比較によりキラル純度が決定されます。

同位体比質量分析法 (IRMS)

元素は、複数の異なる同位体として存在することが可能です。つまり、陽子を同数有していても、異なる数の中性子を有することで、結果的に原子質量が異なるのです。例えば、最も数の多い炭素の同位体は炭素12であり、6個の陽子と6個の中性子を含みます。しかし、存在する量は炭素12より少ないですが、6個の陽子と7個の中性子を持つ炭素-13も存在しています。特定の元素の異なる同位体間の比を測定することにより、試料のソースについて多くのことが明らかにすることが可能なので、蜂蜜の真正試験から硝酸塩汚染源の特定まで幅広く使用されています。

試料をイオン化して磁場を通し、それらを同位体比質量分析計を使用することで、同位体比を測定することができます。分子は質量に応じて、異なって偏向され、次いで検出器によって取り出されます。試料の本来の値と比較することにより、様々な同位体比によって異なる比率を持つ異物の存在を明らかにすることができるのです。

Beta Analytic Garlic Oil Case Study

※「Biobased%」がC14分析法の結果、一番右「GC-MS」がガスクロマトグラフィー質量分析法の結果です。
C14分析法では、#3のみが天然由来成分100%であるという結果に対し、ガスクロマトグラフィー質量分析法では全てのガーリックオイルが「PASS」(合格)とされています。

炭素14 分析法

植物や動物を由来成分とする天然由来製品の偽和に、安価な石油由来の合成物質が使用されることはよくあります。この場合、天然由来成分と同じ化学組成を有する成分であっても、炭素14分析法を使用して偽和を検出することができます。弱い放射性炭素同位体である炭素14は、放射性崩壊の法則に従って、時間とともに減少していきます。炭素循環の一環として、すべての生き物はある一定の炭素14を含んでいますが、石油化学由来の化合物には、炭素サイクルから外れてから長い時間が経っているため、炭素14を含みません。よって、製品の炭素14の含有量を測ることで、石油由来の原料が植物由来/動物由来の原料と区別することができます。しかし、炭素14分析法では、植物由来成分と動物由来成分のそれぞれの含有量を測るといった、天然由来成分の成分ごとの違いを区別することはできません。

炭素14は、前述した通常の質量分析装置(IRMS)と類似した原理で動く、AMS(加速器質量分析計)を用いて測定されます。重要な相違点は、イオンが検出器に到達する前に、イオンを勢いよく加速させる点であり、これによって炭素12・炭素13から炭素14を分離して検出するなど、非常に少ない存在量の同位体を検出することが可能となります。

結論

上記のような試験方法を活用することは、天然由来製品の真正性を実証するために有効な方法です。もちろん、絶対確実な保証ではありません。しかし、それぞれ違う問題を検出することができる試験方法を複数採用することで、品質管理を強化することができるのです。

参考文献:

  1. Downey (ed.), 2016, Advances in Food Authenticity Testing, Amsterdam: Woodhead Publishing.
  2. Zawirska-Wojtasiak, R, 2006, Chirality and the Nature of Food Authenticity of Aroma, Acta Scientiarum Polonorum Technologia Alimentaria, 5, pp. 21 – 36.